スペックに相談だ。

稼働も仕事も落ち着いたので、今巷で話題になっているパチンコ・パチスロの風営法改正って一体どういうもんなの？ という話をまとめてみました。

と、その前に。僕は正直、風営法やら規則に関してあまり詳しくない。なので今回は、それらに詳しい編集部のNさんから勉強させて頂いた上で、自分なりに解釈した内容になります。そして多くの人に知ってもらうために、出来るだけ噛み砕いた表現で書こうと思います。

それと、僕はパチスロライターなので、パチンコに関する改正は今回割愛します。

さて、7月11日の風営法改正案で、パチスロがどう変わるのか。改正案を読んでみたけれど、小難しいことばかり書いてあってさっぱり分かんね。もーいいや、なるようにしかならんだろう。

…そう思っていた時期が僕にもありました。でも、諦めるのはまだ早いよ。確かに文章クソ長くて読むのめんどうだけど、パチスロに関する改正案はもの凄く単純。

その１！ パチスロ検定試験のペイアウト引き下げ

その2！ 大当たり払い出し枚数をMAX300枚に引き下げ

その2はそのままの意味なので、今回はその1を。

パチスロ機は、メーカーが開発した後、警察が出玉の検定試験をしています。ギャンブル性の高いマシンを世に出回らせないようにするためである。そのギャンブル性を計る基準として、ペイアウトと呼ばれる数値があるのだが、その数値を以下に変更しましょうと動いている訳だ。

その数値がこちら。↓

これだけ見ても何が何やら分からないと思うので、要点だけまとめると、「短時間の実戦で得られる枚数をもっと少なくしよう！」 という事に集約される。

特に注目すべきは、「1600Gでペイアウト150%」 が新たに設置されたこと。検定試験の際、4時間の実戦（警察曰く1時間あたり400G）で、ペイアウトが150%を超えたらアウトという制度が設けられたのだ。

念のために言っておくと、巷で言われいるような 「4時間で5万円までしか勝てない」 という規則になる訳では無い。パチスロ検定試験で1600G実戦したときのペイアウトが150%を超えてはいけない、という意味である。この新案が一人歩きしてしまい、パチスロが4時間で5万円しか勝てなくなるというウワサが出回ってしまったのだ。
 

同じことじゃないの？ と思うかもしれないが、全然違う。例え
ば今の機種はペイアウトMAX119%だが、運が良ければ一日で万枚とか出たりする。その際のペイアウトは140%を余裕で超えているが、違反でもなく普通に稼働している。つまり運が良ければ、今まで通り4時間で5万でも10万でも勝つことが出来るわけだ。

ただそれでも1600Gでペイアウト150%はかなり厳しい。出玉の瞬発力が相当落ちるため、使った金を取り戻すのにえらい時間がかかる ようになってしまう。

どのくらいかというと、ART機ならばベルで9枚以上の払い出しが困難になる。2.20倍以上増えてはいけないので、IN3枚ならOUT6.6枚、つまりベルの払い出しが6枚になるような感覚である。僕の愛するSLOT魔法少女まどか☆マギカ2も、この検定条件だと通れない。

また、短時間での枚数が制限されるため、結果的に長期のペイアウトも上げにくくなる。規則では115%となってはいるが、これだけ出玉性能を抑える仕様だと、そこまでのスペックを出すのは容易ではない。市場に出回るのは105～110%くらいが主流になるのではと思います。

ちなみにペイアウト下限には全く触れてないけれど、個人的には今回のペイアウト下限改正にはあまり意味がないと思います。なぜなら400Gでペイアウト33%の場合、約800枚負けていることになるけれど、400Gで1万6000円負けって、今の機種でもそれくらい普通に負けるやんけ。更に17500Gでペイアウト60%も、2万1000枚までは負けていいということになるけれど、二日ブン回して40万負けなんて、確率的にありえないレベル。この取り決めはあまりに無意味。

よって、今回の改正で重要なのは、400Gと1600G時点でのペイアウト上限が下げられた こと。それにより、短時間実戦での出玉が得にくくなったことが大きな問題となるのです。

ちなみに、今回の風営法改定の背景には、ギャンブル依存症問題があります。射幸心（よく聞く単語）を減らして、ギャンブル依存を無くし、健全な遊技環境にしようと国が動いてるわけです。

それは確かに大事なことだと思うけれど、今回の風営法改定にはイマイチ納得出来ない点が多々あります。まず、1600Gでペイアウト150%という数値。今回の改正の肝となるこの数字が、いったいどこから出て来たのかザックリ言いますと、

えらい人「ギャンブル依存者のパチスロ収支は月平均マイナス5万円なんだって」

えらい人「ギャンブル依存者の一回あたりの平均遊技時間は4時間（1600G）らしいよ」

えらい人「てことは、1600Ｇでは5万円を取り返せないようにすれば、ギャンブル依存者は減るんじゃないか！？」

という根拠らしい。しかし、僕にはこれが、

・月平均マイナス5万円

・一回平均4時間

・4時間1600G

という都合の良い単語だけを拾って、それを上手い事つなぎ合わせて、パチスロのスペックを下げようとしてるだけにしか思えない。平均という言葉が度々出てるが、果たしてギャンブル依存者が 「平均的に見たら負けた金は取り返せないからパチスロは打たないほうがいいよ」 と言われて本当にパチスロを辞めるだろうか。逆に4時間以上かければ取り戻せるという意味でもあるので、のめり込む時間が長くなりそうな気がするけれども。

パチスロが今よりも更に短時間で出ないものとなる改正は、ギャンブル依存者よりも一般ユーザーが受ける影響の方が大きい。結果遊技者がいなくなってしまい、業界が衰退の一途を辿るだけのように思える。そりゃ国からすればパチンコパチスロを衰退させるのが本当の狙いなのかもしれない。が、今回の改正は射幸性とギャンブル依存者を減らすための案であって、遊技者を減らす＝業界を潰すための案ではないはずだ。本音があまりにも見え透いた建前だから、何か言わずにはいられない。

なんか愚痴っぽくなってしまったけれど許してつかあさい。ちなみに今警察は、この法案に対する愚痴を、なんと公的に受け付けています。それがパブリックコメント。

パブリックコメントとは、新しい法律規則を通すにあたり、一般から広く意見を集めようという制度。ネットで検索すれば誰でも書くことが可能。法律として決まってしまったらもう意見のしようがないけれど、今は唯一それに対して反論が出来る。もっとこうした方がいいとか、こんな規則納得いかねーという方は、警察 パブリックコメント で検索して思いの丈をぶつけてみてはいかがでしょうか。意見締め切りは8月9日とのこと。

以上、パチスロライターとしての意見でした。なお、パチスロ生活者としての意見は…与えられた状況下で勝てるのであれば打つし、勝てなくなったら打たない（打てない）。例え勝てなくなりそうでも、誰かに意見など言える立場ではないし、自分の力が及ぶ範疇ではない、です。

例えるなら、サバンナでシマウマが食べる草無くなりそうなときにどうするのかという感じ。シマウマがどんなに吠えようが願おうが、草は生えてきません。生きるために別のオアシスを探すか、草食動物のプライドを捨て肉を喰らうか、のたれ死ぬか。選択肢は人それぞれ。

あ、人じゃなくてシマウマか。えらく長くなってしまいましたが、最後まで付き合ってくれてありがとうございます。パブコメ（パブリックコメント）の存在だけでも覚えていってね！ 法案に意見を言えるのは今だけだよ！ それでは。

RESULT 法律って難しい