あまり二宮くんを怒らせないほうがいい

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二宮くん そして、ボクたちは天使と呼ばれていた

 「…先生が一番最初に告白した相手が俺じゃなかったこと」
 自分でも小さいと思う。
 「俺は…先生に初めて会った時から多分…心のどこかで好きでした。電車で本を渡されて…。あの時からあの作家さんの小説は全部読んで、勉強して先生と同じ学校に入学して…でも先生はカッコイイから学校内でも有名で」
 いつも先生の周りには誰かがいて、必ず真ん中は先生だった。
 「片思いのまま終わると思ってました。先生に告白されるまでは」
 「…あなたは素直で純粋で、恥ずかしくなるくらいストレートに言ってくれますね」
 「くふふっ。そうですか?」
 「…私も、傘を渡された時から好きでした」
 「運命、なんつって」
 「あながち間違いではないけど」
 2人で笑い合う。
 「先生」
 「ここは外ですから、名前で。ね?”雅紀”」
 「…うん、”翔”」
 またキスを……「先生」
 「っ!」
 少し悪い笑いを浮かべる男の子。
 「二宮くん!」
 「偶然ですね。櫻井先生も」
 「そうですね」
 「何してるんですか?」
 「え?あぁ、散歩がてら「デート」違う!」
 「デートじゃないんですか?残念です」
 あからさまに落ち込んでみせる先生。
 「ニノ!」
 聞きなれた声が……あぁ!!?
 「お、大野先生!!」
 「相葉先生!偶然ですね」
 「ぐ、偶然ですね?エヘヘ…」
 偶然か?これ。
 「大野先生はどうして?」
 「あぁ、二宮くんとデート「大野先生!!」
 今度は二宮くんの番。照れたように先生の口を手で覆う。
 「ハハハッ。大野先生の方が素直ですね?二宮くん」
 「っ/////!!」
 櫻井先生も笑っておちょくる。
 「ニノ、大野先生いた?あ、こんにちは」
 松本くんまで…。あれ?ちょっと待って。
 「松本くん、今茂みの裏のベンチから来たよね?」
 「え?はい」
 肩をガシッ!と掴む。
 「見てた!?」
 「あ……アレですか?相葉先生と櫻井先生のキ「見てたんだね!?」
 言われる前に被せる。
 「はい、最初のあたりから」
 「……」
 死んだ。終わった。見られてた。
 「松本くん!好きなもの言って!買ってあげるから!!」
 もので釣る作戦!
 「…じゃあ、あそこのカフェで奢ってください」
 「よし!いっぱい食べてくれ!」
 「ヤッタ?!大野先生、俺達も行こうよ!」
 「へぁっ!?」
 違う違う!二宮くん達は「え?いいんですか?相葉先生」
 「っ、く…はい!いいですよ!」
 まんまとやられた。大野先生に言われたら…。
 「はぁ…」
 財布がカラにならないことだけ祈っとこう。
 生徒に手を引かれて歩く相葉先生。少し困ったような顔をしながらも楽しげだ。
 「…」
 本当は高校の時には将来の夢が無かった。ただ、あの時の相葉先生が教師になりたいと言っていた。だから俺もこういう仕事を選んだ。
 「櫻井先生、助けてくださいよ?」
 「…フフッ」
 自分の財布もカラにならないことだけ祈っとこう。デートは、また今度。ゆっくり楽しめる時でいい。今はただ腹の減った生徒…と先生に奢っておこう。
                      fin

二宮くんが好きな人に悪い人はいない

「で、どうだった?愛しの智くんは?」
俺の隣りで、テンションの上がりきった相葉くんが、二ヒヒと笑う。
二宮くんたちのバンドのライブが終わって、居酒屋を貸し切っての打ち上げに、部外者ながら、俺も参加させてもらっていた。
何故なら、二宮くんのバンドで歌ってたのは、智くんだったから。
智くんに誘われたらNOとは言えない。
「良かった。すごく良かった。本当に良かった」
さっきまでの、舞台の上の智くんが脳裏から離れない。
薄暗い照明の中で一筋のライトに照らされていた智くんは… まるでこの世の者ではないような神々しい光を纏って… 澄んだ歌声を軽やかに響かせていた。
俺の知ってる智くんとは、また違って見えて… 遥か遠くの場所に立ってる人のようで… 
正直、ちょっと… 寂しい気もしたけど。
「… 他に言い方ないの?」
「えっ… 例えば?」
「あんまり智くんがカッコよくて、惚れ直しちゃったよー、とか」
… それは、俺が言うとシャレにならないやつじゃないのか?
シャレになるのか?
「俺だけのボーカルを聞かせてくれよ、とか。ウヒヒヒー」
「ちょっと、雅紀。お前、飲み過ぎ」
二宮くんが、相葉くんのグラスを取り上げて、間に座り込んだ。
「櫻井さん、すいません。こいつ、久しぶりのライブでテンション上がっちゃって」
「あ、いや。大丈夫だよ」
「忙しいのに、ライブ、来てくれてありがとうございました」
二宮くんが律儀に礼を言って、ビールを注いでくれる。
この前、病院で話した後から… 何故か俺に対する風当たりが弱くなったような…
今日も、櫻井さんも呼べば、と智くんに言ってくれたのは、二宮くんだったそうだし。
「でもすごいね。二宮くんのバンド、人気あるんだね。驚いたよ」
「智がボーカルで入ってくれた時はね。今日みたいにチケットも一瞬でsold outなんだけど」
「智くんは… いつも歌わないの?あんなに上手なのに」
「俺たちはみんな、他に仕事持ってる社会人の集まりですから。なかなか都合が合わなくて。特に智は… 歌える時と歌えない時があるみたいなんです。心情的なもので… あいつ、意外に繊細なんですよ」
「そうだね… ちょっと、分かる気がするよ」
「今日は… 櫻井さんのおかげってとこもあるのかも… 」
「え?」
二宮くんの台詞の意味を聞き返そうとした瞬間。
「だーれだ?」
途端に目の前が真っ暗になった。
ずっと聴きたかった、この声。
「智くん?」
「当たりー。やっと翔くんの処に来れたー」
ほんのりと頬を染めた智くんが、俺の隣りに座りながら言った。
「松兄がなかなか離してくれなくてさ。ニノ、後はよろしくね」
「えー、松兄は智じゃなきゃ無理だって」
「俺はもう翔くんといるからね。呼ばれたって行かないよ」
智くんが、俺の腕に手を絡めてくる。
急激に高まる心拍数。
「もう、仕方ないなぁ。ほら、雅紀、あっち行くよ」
と、二宮くんが寝かけていた相葉くんを引っ張って、向こうへ行ってしまった。
「智くん… 酔ってる?」
智くんが、絡めた腕に気付いて、
「あ、ごめん… 」
と、手を離そうとする。
思わず、その手を捕まえて。
「違う。そうじゃなくて… あ、いや。えっと」
「ふふっ、翔くん、何言ってんのか分かんないよ」
「ご、ごめん… 」
「俺はまだ、そんなに酔ってないよ。さっきまで松兄っていう怖い先輩といたからね」
「先輩?」
「今日、ドラム叩いてた人。本当は優しいんだけどね、すぐ俺を揶揄って遊ぶからさ」
「智くんは揶揄いやすいんじゃない?」
「俺、ボーっとしてるからかなぁ… 翔くんもそう思う?」
「俺は… 智くんはすごいと思うよ。絵も歌も、才能の豊かな… 感受性の強い人に見える」
「翔くんに言われると… なんか、くすぐったいな… 」
照れたように顔を背けて、グラスに口をつける智くんが、可愛くて…
俺の顔のすぐ傍に見える、智くんのふわふわの茶色い髪にそっと… 唇を付けた。
うるさいくらい賑やかな店内で、誰にも気付かれないだろうと思ったのに… どうやら1名、バッチリ見ていた人間がいたようで。
「おい、そこの!智の隣の男!ちょっと来い!」
と… 
何処からか、ドスの効いた声が飛んできた…

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