二宮くん さぁ、夢と絆を始めよう
「では、今後とも、よろしくお願いします」
深々と櫻井は一礼をし、顏を上げる。
その時、得意先の来客をロビーまで送りに来た櫻井の目に、受け付けの前で大きく手を振る男の姿が飛び込んで来た。
送迎車に乗り込んだ客を見送ると、櫻井は打ち合わせスペースでコーヒーを飲んでいる男の元へと向かう。
「大野さん、どうしたの?珍しいじゃん」
「俺さ、今日は午後からのシフトなんだよね。だから、せっかくだから翔くんに昼飯でも奢って貰おうかと思ってさ」
ふんわり笑顔でそう返されたが、彼が違う意図で現れたのは明らかだ。
「あなただって高給取りでしょうが。……分かった。少し、時間くれる?遣り掛けのもん、すぐに片付けるから」
「イイよ、イイよ。ちゃんと余裕見て来たからさ」
それこそご機嫌で満面の笑みの大野に、櫻井は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「で、どうなのよ?」
蕎麦屋の個室に腰を落ち着けた所で、そう大野が切り出す。
何を聞かれているのかは、分かりきっている。
櫻井は、真っ直ぐ大野の目を見た。
「俺、相葉くんが好きなんだよ」
「ふーん」
特別、驚くでもなく、大野は相槌を打つ。
「相葉くんも同じ気持ちだと思う。はっきりと言われたわけじゃないけど……」
「ニノが荒れそうだなあ、そりゃ」
「ニノ?二宮くん?」
「あいつ、相葉ちゃんしか、見えてないからさ」
「そ、そんな感じだよな」
櫻井は溜息交じりに頷く。
「しょうがないっちゃ、しょうがねえんだよ。お互いにお互いしかいなかったからさ」
「相葉くんも、そんな事言ってたけど、詳しい話は聞いてないんだ」
「俺の口から言えんのは、二人とも、それ相当な酷い仕打ちを受けて来たって事ぐらいかな。翔くんが知りたいなら、相葉ちゃんに直接聞いてみるんだな」
元より、必要以上の詮索を櫻井はするつもりは無い。
相葉が自分を信頼して話してくれるまでは、待つ心づもりはあるのだ。
抱えている物が大きければ大きいほど、人はそれを手放すには勇気がいる。
それが悲しい事だろうとなんだろうと。
しかし、どう考えても、二宮だけは、軟化させるのは至難の業だと思う。
それほどまでに、相葉に対する彼の執着は行き過ぎているんじゃないか……。
運ばれて来た蕎麦を、二人、無言で啜り始める。
大好物でウマイ筈のそれを、櫻井は砂を噛む思いで食べ続けた。
ふと、今朝の相葉とのやり取りを、思い出したくもないのに思い出す。
またも玄関で待ち構えてしまった自分に、相葉はにっこり微笑み、おはようございますと言ってくれた。
おはようと返し、すぐさま抱きしめようとしたのに、思わず、その動きが止まってしまった。
「今朝、いつも通り、相葉くんが来てくれて……。でも、いきなりその首に首輪があってさ、ストールで隠してたけど……」
語尾に忌々しさが滲む。
小賢しい二宮の顔が頭にちらつく。
オメガが望まない関係を避けるために、自衛の手段として首輪を嵌めるのは知っていたが……。
「用心の為だな。相葉ちゃんを翔くんに取られないようにって。もしも行為中に、うなじに噛み付かれたりして、番になっちまったら取り返しがつかないって事だ。二人を見つけたあん時のニノは、我を失ってすげえ怒り狂ってたもんな」
「馬鹿な!合意も無しにあんな事!二度としない。あ、あの時は、相葉くんのヒートに煽られて……」
「相葉くんのフェロモンに、翔くんもヒートを発症させてたもんな。おいら、びっくりしたよ」
「俺だって、驚いたよ。あんなの初めてだったから」
今更ながら悔いを覚える櫻井は、それでも眉を顰める。
大野は腕を組み、首を捻った。
「そうだよなあ。翔くんはずっと前からオメガを毛嫌いしてて、薬も飲んでるし、特別な訓練も受けてるのにな。それに、相葉ちゃんだって、あそこまでのヒートを起こしたことなんかねえのに……」
制御出来ない情動は、ただでさえ、不確かな感情を更に不可解にする。
「じゃあ、やっぱり、二人には、二人の関係には薬なんか効かねえって事なんかなあ……」
「何、それ?」
「聞いたことあるだろう?魂の番。……運命の相手ってことだよ」
大野は胸に手を当てると、はっきりとそう断言するのだった。
*****
スイカでラブい二人、結構流れますねえ。
しかし、真夏でもないのに、なんでかな?
でもさ、あれ見ると、本当に安心するよね。
ずっと仲良しでいてねって、心の底から思うんだ。
くっそう!!o(`ω´*)oプンスカプンスカ!!
なかなか頭ん中、前みたいにバラ色ってな具合にはならないけど、それは、時が解決してくれるのを待たないとですね。。゚(T^T)゚。
こんな二宮くんは嫌だ
やべぇぇぇ!!
智の余りの可愛さにお母さんが居ること、すっかり忘れてたぁぁぁ!!
大「あ、あのね?母さん、今のは…」
二「お、お母さん!今のは…」
母「ほんと!仲が良いのね!2人とも!」
大・二「へ?」
お母さんの意外な反応に智と2人、目が点になる。
母「はい!仲が良いのはいいけど…朝ご
飯、さっさと食べちゃってね!」
と自分の食べ終わった食器を洗い場に置いてどこかへ行ってしまった…
大「…とりあえず…食べよっか。」
二「あ、あぁ。そう、だな。」
それから俺たちは黙って朝ご飯を食べ進めた…